2013年1月17日木曜日

歴史ロマン溢れる『石鼓文』

石鼓文
せっこぶん

石鼓文(先鋒本)
時代: 秦(東周時代)
筆者: 不詳
書体: 篆書(大篆)
現存: 北京故宮博物院

 石鼓文は、唐の初期に陳倉(陝西省宝鶏市郊外)の田野で発見された10基の花崗岩の石碑(およびそれに刻された文字)で、60cmぐらいの太鼓に似たその形状から石鼓と呼ばれている。

 2200年以上前の石刻で、中国に現存する最古の石刻になり、出土したときから破損・磨滅があり、剥落(はくらく)が激しく、発見後は孔子廟に置かれたが、戦乱で散逸し、長旅を経て現在は北京の故宮博物院に収められている。このようなことから、現在では第8鼓などは判読できなくなっている。第6鼓は再発見された時には石臼として使われていたという話も面白い。



 書体は、秦の小篆に対して大篆と称し、また籀文(ちゅうぶん)・籀篆ともいう。時代については諸説ありますが、唐蘭氏の秦の霊公3年とする説が有力です。文章はかなり難解ですが、今日では、天子が地方を巡狩するときの情景を、四言を基本とした韻文に詠じたものあることがわかっている。全文は700文字前後あるはずと考えられていますが、宋拓本で460~500文字程度が見られ、文字資料としてたいへん貴重なものとなっています。






・范氏天一閣本
北宋時代の拓本で462字あり、古くより公開されているため、のちの刻本やレプリカのモデルになっている。1860年、内乱の際に亡失している。

明時代の金石家・蒐集家だった安国は十種もの石鼓の旧拓本を入手しており、特に優れた北宋拓の三本を、軍兵の三陣になぞらえて「先鋒本」、「中権本」、「後勁本」と名づけ秘蔵していた。いずれも、東京・三井文庫所蔵となっている。

・先鋒本
最古の拓本とされ、上下2帖からなり、毎葉2行、1行3字、480字が読み取れる。東京・三井文庫所蔵。

・中権本
毎葉3行、1行5字、不明瞭ながら500字が読み取れる最多字数の拓本で、法書としてこの拓本がよく取り上げられる。

・後勁本
毎葉3行、1行4字、491字が読め、法書としてよく供される。

 いろいろな歴史ロマンが溢れる石鼓文です。呉昌碩の臨書作品は、石鼓文の真を得ていると云われれいます。


臼として使われてしまった石鼓文


 夏目漱石と石鼓文が繋がっていたり、石鼓文自体にも諸説が多く、まだ情報整理がついていない状態で書いています。追って整理・修正していく予定です。


【関連書籍】


漱石と石鼓文

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