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2013年1月20日日曜日

漢字の音読み、「呉音」、「漢音」、「唐音」。


最初に伝わった漢字の音は、長江下流域の呉の地方の発音でしたので「呉音(ごおん)」とよばれます。呉音は、朝鮮半島の百済(くだら)を通じて渡来したので「百済音」、対馬を経由したので「対馬音」とも云われます。

 「漢音(かんおん)」は、その後の隋・唐の音を遣唐使や留学生が長安(現在の西安)や洛陽地方から伝えられたものです。当時中国を一般に漢(から)と言っていたので、漢代の音ではないですが漢音とよびます。朝廷はこの漢音を「正音(しょうおん)」として尊び、勅令を出して、以後の読書は漢音でせよと唱導したため、日本における漢字音は漢音が主流となりました。『古今』を「コキン」と読むのは、漢音で読んでいるわけです。

 時代が下って、中国の宋の時代になると、日宋貿易や禅僧の往来などによって、新しい中国音が伝わって来ました。当時は中国を唐(から)と言っていたので「唐音(とうおん)」ということになりました。ただし、現代では「唐宋音」とも「宋音」ともよんでいます。その後、明代、清代の音も入ってきますが、これらも大きく唐音に入れています。

 漢文はふつう漢音で読みますが、慣用で呉音が定着している言葉も混じっていて、新来の語彙の中には、唐宋音がそのまま使われているものもあります。これが、日本で使われている漢字音が複雑になっている原因でもあります。

 呉音で読むと変な例として、「美人」は「ミニン」、「白金」は「ビャクコン」、「埋没」は「マイモチ」となります。これはとても違和感があります。

 呉音が定着している例は、人間(ニンゲン)、六月(ロクガツ)、天井(テンジョウ)、胡麻(ゴマ)などがあります。これを漢音で「ジンカン」、「リクゲツ」、「テンセイ」、「コマ」と読むととても違和感があります。

 唐宋音には、長崎や京都宇治の禅寺などから出た言葉で次のようなものがあります。
和尚(オショウ)、喫茶(キッサ)、椅子(イス)、簞笥(タンス)、行燈(アンドン)、行脚(アンギャ)、算盤(ソロバン)… 

 漢字字典などには、音の種類も記載されています。呉音、漢音、唐音の他に慣用音などもありますので、とても複雑ではありますが、音から伝わった時代背景を見てみるのも面白いかもしれません。「喫茶」、「世間」など仏教由来の言葉が、唐宋音、呉音になっているので、仏教用語は全て呉音ということでもないわけですが、呉音で読まれることが多いようです。


【参考書籍】





2013年1月18日金曜日

漢字はどのくらいあるのでしょう?

 漢字はどれくらいの数があるかというと、1994年に刊行された『中華字海』(冷玉龍編)に収録されたの85,000字あまりだそうだ。日本の『大漢和辞典』(大修館書店)が、およそ5万字なので、約1.5倍の量になる。たぶん、これだけの文字を全部使う人はいないだろうし、これだけの文字を持っている文化も無いのではなかろうかと思う。

 歴史的にみると… (詳細はWikipediaにリンクしてますので、そちらで...)


 『説文解字 後漢・許慎 (100年頃) 9,353字

 『玉篇 梁・顧野王 (543年頃) 16,917字
 『類篇 宋・司馬光 (1066年) 31,319字
 『字彙 明・梅膺祚 (1615年) 33,179字
 『康煕字典 清・張玉書等 (1716年) 47,035字
 『大漢和辞典 日本・諸橋轍次 (1955年) 49,964字
 『漢語大字典』 中国 (1990年) 約56,000字
 『中華字海 中国 (1994年) 約85,000字

 なるほど、時代が進むにつれ、漢字の数は増え続けているのですね。


 これだけあると、掲載されてはいるものの、誰もつかったことが無い漢字というのもあるのかもしれません。もちろん、全部覚える必要は無いと思います。必要な文字は学び、必要な意味を学び、教養を深め、人生をより良いものにしていければ良いのです。


 『説文解字』ができてから、2000年近くの時を経て、10倍ほどの量になった漢字。いや、なってしまった、のかもしれません。今後の漢字はどのようになっていくのでしょう。楽しみでもあります。


【参考書籍】



漢字道楽 (講談社学術文庫)
阿辻哲次
講談社

とても気軽に読めて、漢字が楽しくなる本です。著者の見識の深さ・広さに触れるのも楽しいです。座右にぜひ。


【関連書籍】


大漢和辞典 全15巻セット 別巻『語彙索引』付
諸橋轍次 
大修館書店




漢字は奥深いです。