2013年2月4日月曜日

初唐の三大家、欧陽詢・虞世南・褚遂良


【時代背景】


 天下を統一した隋は、わずか37年で滅び、隋末の動乱を鎮圧した李淵(高祖)が天下を再統一し、唐王朝を建設しました。


李世民(太宗)
 李一族は、隋王朝の親戚関係にあった豪族でしたが、隋の終り頃、天下は混乱し各地で群雄が蜂起し、李淵の子李世民(りせいみん)は太原の留守居約であった父に挙兵をすすめ、都に乗り込み、父を唐王朝初代皇帝の位につけました。自分は秦王(しんのう)に封ぜられましたが、父をよく助け、唐王朝の基礎を確立することに努めました。李世民(太宗)は父の後を受け、国力を充実させ、その治世は唐代の中でも最も隆盛でした。

 唐は618年に起こり907年に滅びたので、約290年ほど続きました。日本では飛鳥時代から平安時代の半ば頃になります。遣唐使などの往来もあり、日本とも関わりの深い時代です。

 唐は文学史では、4つの時代に分かれていて、「初唐」「盛唐」「中東」「晩唐」と別れます。(初唐、盛唐、晩唐の3つにわけることもありますが、ここでは4つの区分にしたがいます。)


  •  初唐(しょとう) 618~712年
  •  盛唐(せいとう) 713~765年
  •  中唐(ちゅうとう) 766~826年
  •  晩唐(ばんとう) 827~907年


【初唐の三大家】

 唐の二代目皇帝、太宗は、中国史上最高の名君の一人と云われ、また能筆家としても知られ、王羲之の書を好みました。書にすぐれた臣下も多く、その中で最も有名なのが、欧陽詢、虞世南、褚遂良の三人です。この3人を「初唐の三大家」といいます。


欧陽詢(おうよう じゅん、557-641)
太子率更令(養育係)として書法を教授する。『九成宮醴泉銘』、『皇甫誕碑』などがある。
容貌すこぶる醜かったと伝えられている。

虞世南(ぐ せいなん、558-638)
太宗のブレーンとして仕えた。代表作に『孔子廟堂碑』がある。書は智永を師とした。


褚遂良(ちょ すいりょう、596-658)
太宗より信任が厚く、尚書右僕射まで栄達。『雁塔聖教序』、『孟法師碑』などがある。

 太宗(598-649)と三大家の年齢を見ると、太宗と褚遂良は2つ違いで、この二人より欧陽詢と虞世南は40ほど年上になります。太宗は宮中に弘文館を設け書を重んじました。弘文館では、欧陽詢と虞世南が書法を教授し、ここから多くの能書を輩出しました。


【参考書籍】


中国書道史年表
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玉村 霽山
二玄社

中国書道史事典 普及版
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比田井 南谷
天来書院

字と書の歴史
字と書の歴史
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江守 賢治
日本習字普及協会

【関連書籍】

決定版 中国書道史
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角井 博 鶴田 一雄 横田 恭三 大橋 修一 大野 修作 石田 肇 澤田 雅弘 中村 伸夫 菅野 智明
芸術新聞社

新訂 書の歴史-中国篇
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伏見 冲敬 筒井 茂徳
二玄社


中国書人名鑑
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二玄社


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